日本橋本町三丁目の薬種問屋「いわしや」...
- 2022/6/5
- 街の人のブログ
私は東京シティガイドクラブ(TCGC)会員としてボランティアガイド活動もしています。TCGCには多くの分科会があり、その中に「江戸名所図を媒介として江戸時代を見聞研修しガイド活動に資する」ことを目的とした「名所図グループ」があります。先日このグループ仲間の須藤さんと「日本橋本町の薬種店」の挿絵を見て、いろいろと議論を重ねました。そこで発生した疑問が全て解けたわけではありませんが議論の一部を紹介したいと思います。
議論の始まりは添付の「江戸名所図会巻之一 本町薬種店」の絵です。赤線で括られている「壱番~四番」の家(蔵)は何を指すのかでした。当然自明のことで疑問とするのもバカバカしいと思うかもしれませんが、次のような疑問が出てきてしまいました。
【疑問1 左右の絵の位置関係が逆ではないのか】
本町の街並みは常盤橋から東方向へ1丁目・2丁目と続き、中央通りを超えて3丁目~4丁目となります。名所図会の左の「いわし屋」の所有者は沽券図(明治6年)から松本市左衛門他であり、住所は本町三丁目であることが判っています。本町通りは両側町ですので、本町三の区画は北側と南側がありますが沽券図から「いわし屋」は本町三南区画にあることが判っていますので、この絵は本町北側から覗いた絵という事が判ります。「本町 薬種店」の2枚の絵はそれぞれ本町三丁目(左)と四丁目(右)と最初想像しましたが、日本橋通りを超えた最初の区画は本町三ですので、絵の上で本町三が左に来ることは考えられません。あせらずじっくり見ると、右の絵の左端上部に左の家の庇が描かれていることから、2枚で本町三丁目を描いていることが判りました。

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